ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




だけどこれが、ずっと、進行して悪化していくものなのだと実感したとき。

私だったらきっと……耐えられない。



「ちはやくん…っ、ちはやくん、…だいすきだよ、千隼くん、」



強くて優しい、君が。

ちょっとだけ無愛想で、真顔で冗談を言ってしまうこともできる君が。

あまり大きくは笑わないけれど、眉を寄せて嬉しそうな顔をする君が。


だけど、たまに、ぷつりと糸が切れたように笑ってくれる君が。



「いっぱい……数えきれないくらい、幸せをくれて…、ありがとう…っ、」



もう、最後かもしれない。
このまま目を覚まさないかもしれない。

でも今はまだ、動いている。

彼の心臓は確かにひとつひとつの音を叩いているから。



「ちはやくん、…もう、たぶん…、愛ってこういうことなのかなって、わたし思うことができて…っ、それでっ、」



いとおしくてたまらない。


言葉にならないくらい、心に火が灯る。

その火はどんな雨に打たれようと、風に吹かれようと、強く強く灯しつづける火だ。



「離れてるときも…ずっとずっと、私のなかには千隼くんがいて…っ、この先もそれは誓えることで……、
だから…っ、私たちにお別れはないんだよ千隼くん……っ」



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