ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
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李衣へ




ごめん、李衣。

手紙に書くことが本当に思い浮かばなくて、とりあえず書いてる今なんだ。


思い浮かばない理由は、李衣にはぜんぶを言葉で伝えているから。


だからこそ手紙じゃなくボイスメッセージに残そうかとも迷ったけど、

やっぱり手紙って一生残りそうだし、特別感があるから、手紙にします。



李衣、

俺が最後に望んで下した決断を知ったとき、きっと君は涙を流して、絶望を感じて、そして怒ったかもしれない。

無理やりにでも、どうにかしてでも俺を救おうと必死にさせてしまったかもしれない。



だけど聞いて欲しい。


俺は驚くくらい、笑ってしまうくらい、やり残したことも後悔もないんだ。


夢は、あったよ。

でもいちばんの夢も、李衣が叶えてくれたから。


だからこの決断を間違っているとは思わないし、むしろ誇りに思ってる。


君と一緒にいられた時間そのものが、俺の生きたすべてだということ。


それだけは今すぐに理解しろとは言わないから、いつか受け止めてくれたら嬉しい。



李衣、


たくさん泣かせてごめん。
約束をしてあげられなくて、ごめん。

つらくて苦しい思いばかりをさせて、俺のために数えきれないくらいの涙を流させて、本当にごめん。


だけど、それ以上に、ありがとうっていっぱい伝えたい。



俺は、本当に本当に幸せなんだ。


李衣と一緒に生きた世界は何よりも楽しくて、温かくて、増悪がなくて。



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