どれだけしても満たされない。
Prologue



これはある吸血鬼と女の子のお話。


あるところに三つ子の兄弟と、1人の女の子がいました。


家も近所で、同い年だった4人は、とても仲がよくいつも一緒にいました。


彼ら3人にとって女の子はお姫さまのような存在であり、好きな子でもありました。


ですが3人は女の子が知らない、気づいていない秘密を持っていました。


太陽を嫌い、朝に眠り、夜に起き出す。

そして、人間の血を求める吸血鬼であること。


けれど3人にとって人間の血は、口にできないほどおいしくないもの。


でもただ1人、お姫さまの血だけは違ったのです。


心が、全身が、満たされていくような甘さ。

何度も求めて、丸ごとほしくなるようなやみつきさ。


今までなんとか人間の血を飲まずに生きてきた彼らにとってお姫さまは、心の底から愛おしく、その血の一滴までもを自分のものにしたい存在。


そんな彼らとお姫さまが再会したとき。


飢えた彼らの吸血衝動は。


そして、お姫さまと結ばれるのは、彼ら3人のうち……?

それとも……。
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