甘くてこまる
揺れる水面に木々が落とす影。
構図は悪くないはずなのに、ぴんと来ない。
カシャカシャと何度かシャッターを切ってみたけれど、どれもイマイチだ。
目の前にはこんなに綺麗な景色が広がっているはずなのに、ファインダーに収めようとすると上手くいかないの。
これなら、無理に写真に閉じこめるよりも肉眼で見ている方がいい。
「納得いかないって顔してる」
「……う。だって、先輩が撮った風景の写真はもっとイキイキしてて素敵だったから……」
あんな風にみずみずしい写真はどうやったら撮れるんだろう。
今度、教えてもらわなきゃ。
「ふうん。カメラって難しいんだ」
呟いた郁の顔を見上げると、そよ風に吹かれてなびいた髪の隙間から覗く瞳が、水面の反射を受けとめてキラリと輝いていて。
長いまつ毛が落とす影が、コントラストを際立たせていて。
カメラを握る手にきゅっと力が入る。