甘くてこまる
気づけば、吸い寄せられるように、郁にレンズを向けていた。
カシャリ、響いたシャッター音に郁が目を丸くする。
「撮った? 今、俺のこと」
郁の声で、ハッとする。
「ご、ごめん勝手に……。今すぐ消すから……っ」
わたしってば、何やってるんだろう。
こんなの、だめに決まってる。
郁は芸能人なんだもん。
どこから流出してしまうかわからない時代、撮影すること自体にキケンが伴うのに。
「なんで消そうとすんの。見せてよ」
カチカチとボタンを押すわたしの手を、郁が制止する。
「え……?」
「見せて? 俺のこと、撮ったんでしょ。見たい」
「わ、わかったよぅ……」
首を縦に振るまで許してくれなさそうだったから、早々に抵抗を諦めてしまった。
ギャラリーを開くと、モニターに撮ったばかりの写真がぱっと映し出される。
「わ……っ」