死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
リアンとふたりの在り方について語った夜から、生活は一変、二人は同じベッドで朝を迎えるようになった。
朝は先に目が覚めた方が片方を起こし、朝食を摂りながら一日の予定を話す。夜も共に夕食を囲むと、就寝前はベッドの中でその日にあった出来事や何気ない話をした。
ふたりは七日に一度、帝都にある孤児院を順に訪れ、子供達と触れ合った。どこの孤児院も皇女夫妻の突然の来訪に驚いていたが、土だらけになっても子供たちと駆け回る夫君と、屋根の下で編み物をしながら夫を見守る皇女の姿を見て、人々の皇族へ対する敬意は益々深くなっていったようだった。
同時に、誕生を祝福されなかった第二王子でありながら、帝国の皇女の夫に選ばれたヴァレリアンへの帝国民の評価は凄まじく高いものとなった。
皇女の夫君ヴァレリアンが、アウストリア皇家の一員となってからふた月ほど経った頃。
公務の合間に慈善活動として帝都各地の孤児院を回っていたヴァレリアンだったが、この頃に皇帝から孤児院の整備や子供の教育環境を整えるよう、正式に役目を賜ることとなった。
皇帝ルヴェルグの治世において、皇族が政務に携わるのはヴァレリアンで三人目である。
かつて第二皇子であったエレノスは、公爵をも凌ぐ地位と有事の際に皇帝の代理人としての権力も持つ、帝国唯一の皇爵に。第三皇子であるローレンスは、世界各地の商人と取引をする外務官の一員に。
そして三人目──皇女の夫君として皇室に入ったヴァレリアンは、慈善事業に携わることとなったのだった。