死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「私と踊って頂けますか? クローディア」
今宵の貴女の姿を目に焼きつけたいのです、とエレノスは微笑む。
「ええ、喜んで」
クローディアはエレノスの元までエスコートしてくれたローレンスにも花を贈ると、ゆっくりとした足取りでステップを踏み出した。
美しい兄妹が踊り出した瞬間、誰もが時を止めて二人に見入った。
揃いの衣装を身に纏う二人の姿は、冬景色から飛び出してきたかのように儚くて美しく、まるで出逢うべくして出逢った恋人のようだと人々の目に映っていた。
「…いつの間にか、こんなに大きくなっていたんだね」
ふいにエレノスはそう呟いた。きょとんとした目で見上げてくるクローディアに優しく微笑みかけると、出かかった言葉を飲み込む。
クローディアが生まれた時から誰よりも一番近くで見守ってきたエレノスは、ルヴェルグやローレンスよりも長い時間を共に過ごしてきた。
生まれた日に母を失い、自分が誰なのか理解するようになる前に父を失ったクローディアは、両親からの愛というものを知らないが、それがなくとも幸せだったと笑ってくれる優しい子に育った。
それは常に他者を思い遣り、どんな言葉をかけたら相手がうれしいと感じるのか、どんなことをしたら喜んでくれるのかを考えながら生きてきたエレノスの姿を見て育ったからだろう。