死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる


「────ッ!!?」

「お目覚めですか? 殿下」

目を覚ますと馬上だった。どうやらローレンスはうたた寝をしていたようだ。

「僕としたことが…」

景色は港町から一変、煉瓦造りの建物が点々とある寂しい街だ。だが道が綺麗に整備されているうえ、すれ違う荷馬車の数が桁違いに多いので、大きな町を結ぶルートなのだろう。

「到着までもう少しかかるので、寝ていても大丈夫ですよ」

「いや、もう大丈夫だ。それに…」

ローレンスは上半身を見下ろした。
身体には紐がしっかりと巻かれ、前にいるマリスの身体に括り付けられている状態だ。

恐らく監禁されていたローレンスの体調を考慮し、馬の上でも眠っても大丈夫なようにしてくれたのだとは思うが…。

「どうかなさいましたか?」

「何でもない。それよりも、助けてくれてありがとう」

閉じ込められていた塔から脱出したローレンスは、助けてくれた少年──マリスと共に馬に乗っている。

ローレンスが跨っているのは愛馬のリリーだ。帝国領で襲われた時に離れ離れになっていたが、マリスを乗せてここまで連れてきてくれたという。
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