【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


 カートを押してくれる泰裕さんの隣を歩きながら、私は洗剤コーナーへと歩いていく。

「あったぞ。ここだな」

「はい」

 いつも使っている洗剤の詰め替えを探す私に、泰裕さんは「いつもはどの洗剤、使ってるんだっけ?」と聞いてくる。

「えっと……。あ、あった。これです」

 お目当ての洗剤を見つけた私は、洗剤の詰め替えをカゴの中へと入れる。

「この洗剤なのか、いつも」

「はい」

 泰裕さんと私は、ちゃんとした夫婦なのに、心が繋がっていない。 
 傍(はた)から見たら、仲がいいように見えるのかな……?なんて思うけど、多分無理だろうな。

「後は、何か買う物はあるか?」

「そうですね……。泰裕さんは、何か買う物とかありますか?」

 泰裕さんは、私に「俺も少し買いたい物がある」と言うと、カートを押したままどこかのコーナーへと歩き出す。

「あの、どこ行くんですか?」

「キャンプ用品を買いたい」

「え、キャンプ用品?」

 泰裕さん、キャンプとかが好きなのかな……?

「今度花純と一緒に、キャンプに行きたいんだ」

「……え?」

 え、今……なんて? 私と一緒に、キャンプに行きたいって……言った?
 聞き間違いとか……じゃなくて?
< 12 / 44 >

この作品をシェア

pagetop