【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
カートを押してくれる泰裕さんの隣を歩きながら、私は洗剤コーナーへと歩いていく。
「あったぞ。ここだな」
「はい」
いつも使っている洗剤の詰め替えを探す私に、泰裕さんは「いつもはどの洗剤、使ってるんだっけ?」と聞いてくる。
「えっと……。あ、あった。これです」
お目当ての洗剤を見つけた私は、洗剤の詰め替えをカゴの中へと入れる。
「この洗剤なのか、いつも」
「はい」
泰裕さんと私は、ちゃんとした夫婦なのに、心が繋がっていない。
傍(はた)から見たら、仲がいいように見えるのかな……?なんて思うけど、多分無理だろうな。
「後は、何か買う物はあるか?」
「そうですね……。泰裕さんは、何か買う物とかありますか?」
泰裕さんは、私に「俺も少し買いたい物がある」と言うと、カートを押したままどこかのコーナーへと歩き出す。
「あの、どこ行くんですか?」
「キャンプ用品を買いたい」
「え、キャンプ用品?」
泰裕さん、キャンプとかが好きなのかな……?
「今度花純と一緒に、キャンプに行きたいんだ」
「……え?」
え、今……なんて? 私と一緒に、キャンプに行きたいって……言った?
聞き間違いとか……じゃなくて?