総長さんは慰めたい。(短)
「特徴はこんな感じの、背の高い男だ。すぐに手が出るから気をつけろ。正面から行くと何されるか分かったもんじゃねぇ。
けど女を傷つけるひでー奴だ。後ろに回って隙だらけの所を狙え。モッチーの敵討ちをしてやるんだ」
「はい!」
「あの似顔絵は、どー見ても……」総長さんが持っているスマホの画面を、遠くから見る。
即席で描いたらしい似顔絵は、下手ではあるものの、とある人物の特徴を良く捉えていて……。そして私はその人物に、とても見覚えがあった。
「(あれは……拳だ!)」
そう、それは――どこからどう見ても拳だった。
え、まさかだけど、部下に敵討ちをさせようとしてる!?これから拳に報復に行くつもり!?まさか、嘘でしょ!?
さすがにそこまで頭のネジぶっ飛んでないよね?だって私、敵討ちなんて頼んでないし!