総長さんは慰めたい。(短)
無事に拳から矛先を逸らせた事に安堵して、ついつい気が緩んでしまった。余計な事を凄い速さで口走ってしまって、冷や汗が滴り落ちる。
だけど、総長さんは「フッ」と柔らかく笑ったかと思いきや、私の頭にポンと手を置いた。
「そんなけよく回る口なら心配ねーか」
「え?」
総長さんは笑った。その顔は、さっきのしょぼくれた顔じゃなく……元のイケメン面(ヅラ)に戻っていた。
「さっきのは冗談として。まぁあんましつこいのもアレだからな。聞くのは、これで最後にするわ。
お前、本当に大丈夫か?傷ついてねーか?」
「え……?」
「お前が止めろというなら止めてやる。だけどな、また何かあったら遠慮なく俺に言え」
ポンポン
「っ!」
見たことの無い笑顔で、そんな優しい言葉をかけられて……すると魔法のように、凄い速さでホワッと頭と心が温かくなった。