総長さんは慰めたい。(短)


柊沢さんが「じゃーね」と言って踵を返した時、追いかけるために誰もが動こうとした。捕まえようとした。

だけど、その中の誰よりも動きたそうにしていた総長さんが「動くな。命令だ」と言って、この場の誰一人をも動けなくした。もちろん、自分自身も――


「はは!」その光景を見た柊沢さんは(腹立つから今度から誘拐犯と呼ぶ)は、今までで一番大きな声で笑った。続いて「傑作だよ!!」と私を担いだまま器用に手を叩く。




「赤の総長と恐れられた君が、女一人を人質に取られたからって、何も出来ないの?そんな腰抜けでいいの?いやーお笑いだ!お笑いだよ!!」

「(なに、この人……怖い……っ)」



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