総長さんは慰めたい。(短)


「何か妙な真似をしてみろよ。二度と、外を歩けなくしてやるからな」

「ひ……っ!」




この時、悟った。私は無力だと。

連れていかれれば総長さんの足かせになると分かっているのに、今、恐怖に襲われて何も行動に移せない。何かされるかもと思ったら、逃げられなかった。弱い自分。知らなかった、腰抜けの自分。




「総長さん、ごめんなさい……っ」




でも、あなたは決して来ないで。この誘拐犯の言う通り、ノコノコ敵地に一人で来ないで。正々堂々決着なんて絶対ない。この誘拐犯は、総長さんを倒すためならなんだってやりそうだ。




「け、ん……拳を、呼んで……っ」


< 36 / 77 >

この作品をシェア

pagetop