総長さんは慰めたい。(短)
だから総長さん、あなたじゃなくて、代わりに拳を寄こして。拳がいれば、こんな奴ひとたまりもないから。五分ともたないから……いや、瞬殺かもしれない。
だから、お願い。総長さん、あなたは絶対、こないでね。
「やく、そく……」
それだけ呟いて、私の意識は途絶えた。恐怖心から、脳が意識を手放したらしい。気絶――今まで生きていて、初めての経験だった。
「凛!!」
薄れゆく意識の中、必死な声色で私を呼ぶ声が聞こえた。「また名前を呼んでくれてる……」目を閉じながら、こんな状況ながら――嬉しい、なんて。そんな事を思ってしまった。