総長さんは慰めたい。(短)
「(人、だよね……?)」
うるさく跳ねる心臓を、制服の上から鷲掴みするようにギュウと握って、恐る恐る「それ」に近づく。すると、だんだんと形を成してきた。
そして「あ」と驚いた声を出す私。無理もない。だって、その人影は、私を攫った誘拐犯がお腹を押さえてうめき声をあげていたのだから。
「うぅ……」
「(痛がってる……?)」
あと一メートルもない距離にいるのに、私に全く気付いていない誘拐犯。きっと、ものすごくお腹が痛いんだと思う。いや、お腹っていうか……。
「ちょっと、見せて貰ってもいいですか……?」
「わ!!ビックリした……。起きたなら挨拶くらいしたら?怖すぎ……」
「(私を攫ったあんたが言うか)」