俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
***

「コスト面も含めれば折衷案のB案もいいが、俺としてはまずはA案の安全性と機能性をアピールしたいと思っている」

「今の段階での向こうの反応だとデザイン面を重視している感じなんですよね。それだとD案がベストかとも思うんですが……」

「確かにその一点にこだわるとすれば、D案だろうな。だが、うちとしては耐久面でこの生地にランクを落とすことはリスクがある」

「そうですね。じゃあやっぱりA案で向こうの提示するデザインにできるだけ添う生地の選定をしてみます」

「ああ。よろしく頼む」

その日、俺は一緒にチームを組んでいる宝来(ほうらい) 嘉人(よしと)とミーティングルームにいた。まだまだ宝来は若手ではあるが、よく機転が利くし交渉もうまいので新プロジェクトで企業様向けのプレゼンを任せようと思っている。

宝来はこれから育てていきたい人材だ。なにより誰に対しても物怖じしないし、きちんと自分の意見を主張するところがまたいい。

コーヒーを口にしながら次の案件に目を通す。
< 45 / 150 >

この作品をシェア

pagetop