一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
「じゃあ、アオイちゃん。
もし良かったらDVD観るの、付き合ってもらえない?
律くんが絶対に見ろって言っている映画があって」

こんなデカイ図体して言うの恥ずかしいけど、ホラー映画は苦手なんだ、と言って姫野さんは笑う。

「じゃあその時、何か美味しい物を持っていきます」

「手ぶらで良いよ。
アオイちゃんが来てくれれば、それで」

「それじゃまったく姫野さんにお礼が出来ていないです……」

「良いの良いの。
みんなで時間が合えば、またなにかパーティーもしたいけどね」

「やっぱり社会人になると、集まるのってなかなか難しいんですね」

「そうだね、僕らは休みが滅多に合わないから」

姫野さんは土日が休みで、他の全員は休みが不規則。
確かにそれでは集まるのも難しい。

「……前は、もう一人いたんだけどね」


―――カイトさんのことだ。


自分から聞いてはいけないと思っていた。
だけど、姫野さんになら……聞いてみても良いんだろうか。

聞いたからといって、どうなるわけでもないけれど……。

「その、もう一人の人って……」
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