一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
その後の作品制作は、あまり進まなかった。
保存しようとした瞬間にPCは固まり、うんともすんとも言わない。
ただコマンドキーとSキーを押すだけの事を、もっと早くしなかった自分を恨んだ。
夕方になるとクロエさんが帰ってきて、ちぃちゃんと玄関まで向かった。
クロエさんは安心したような表情を、ほんの一瞬だけ浮かべた。
「お、おかえりなさい」
家族以外におかえりなさいと言うのは、少し気恥ずかしい。
「ただいま」は、とても小さな声で返された。
「すぐに夕食、準備して平気?」
「はい、俺も手伝います」
断られだろうと思いつつ言ってみると、やはり断られた。
出来たら声掛ける、と言ってクロエさんはキッチンへ向かった。
もしかしたらクロエさんは、今日も帰ったら俺がいないんじゃないかと思っていたんだろうか。
一瞬だけ見せた表情は、そんな風に見えた。
自分はもう、覚悟を決めた。
そう言おうかと思ったけれど、自分の思い違いかもしれない。
今朝の朝食はクロエさんは食べずに出かけたから、二人で食べるのは今夜が初めて。
考えてみれば、普通の状況でクロエさんと向き合った事はないような気がする。
初めて会った時は、俺が泥酔。
翌日は契約内容を話して、その後は俺が唇に触れて泣き出して。
お味噌汁を出してもらった時は、クロエさんは食べずにただ俺を見ていて、その後また俺が泣き出して。
昨日三人で夕食を食べた時は七星さんが中心になって、どうしてあんなに焦って撮影に向かったのかだとか、その後どうだったのかを話してくれた。
アイスクリームを食べた時はクロエさんの様子がおかしかった。
保存しようとした瞬間にPCは固まり、うんともすんとも言わない。
ただコマンドキーとSキーを押すだけの事を、もっと早くしなかった自分を恨んだ。
夕方になるとクロエさんが帰ってきて、ちぃちゃんと玄関まで向かった。
クロエさんは安心したような表情を、ほんの一瞬だけ浮かべた。
「お、おかえりなさい」
家族以外におかえりなさいと言うのは、少し気恥ずかしい。
「ただいま」は、とても小さな声で返された。
「すぐに夕食、準備して平気?」
「はい、俺も手伝います」
断られだろうと思いつつ言ってみると、やはり断られた。
出来たら声掛ける、と言ってクロエさんはキッチンへ向かった。
もしかしたらクロエさんは、今日も帰ったら俺がいないんじゃないかと思っていたんだろうか。
一瞬だけ見せた表情は、そんな風に見えた。
自分はもう、覚悟を決めた。
そう言おうかと思ったけれど、自分の思い違いかもしれない。
今朝の朝食はクロエさんは食べずに出かけたから、二人で食べるのは今夜が初めて。
考えてみれば、普通の状況でクロエさんと向き合った事はないような気がする。
初めて会った時は、俺が泥酔。
翌日は契約内容を話して、その後は俺が唇に触れて泣き出して。
お味噌汁を出してもらった時は、クロエさんは食べずにただ俺を見ていて、その後また俺が泣き出して。
昨日三人で夕食を食べた時は七星さんが中心になって、どうしてあんなに焦って撮影に向かったのかだとか、その後どうだったのかを話してくれた。
アイスクリームを食べた時はクロエさんの様子がおかしかった。