可愛い2人の恋愛初心者
"可愛い"
その言葉が入ってこなくて、だんだん頭が回ってくる。
ぐるぐると頭を回転させて、いつの間にか歩いていて、急にハッと結城くんとの距離感がバグっていることに気づいた。
「っ、ごめん!」
「あれ、正気に戻った?…良いのに、おいで。」
ほぼ抱きついてたのを慌てて離れると、結城くんはすぐに背中に回ってた手で私を引き寄せた。
「美奈、可愛い。」
また、"可愛い"って言った…。
「って、名前…。」
「美奈も颯斗って呼んで。」
ヴワーッ!
ビクッ!!
ビクついて足元が結城くんと絡まり、壁に押し付けてしまう。
「ごめっ…!」
「ははっ。楽しいね。」
結城くんとの顔の距離が縮まり、至近距離のまま見つめ合う。
コツンとおでこを当てられて、結城くんの顔が見えなくなってしまったけど、吐息を感じる。
「…キスしても分かんないよね。」
「「キャーッ!!」」
もう最後の直線だったらしく、後ろから何人ものお化けが追いかけて来たのを必死で逃げてたら他の生徒たちがたくさんいて、肝試しが終わっていた。
息を整えつつ、心臓のバクバクは治まりそうにない。
隣で健くんと爽やかに話してる結城くんを横目に、さっきの聞き間違いかと思うような出来事を思い出す。
ぎゅっと胸を押さえて、何に対してのバクバクなのかよく分からなくなってた。

