あのね、大好きだったよ

プロローグ

彼との恋は、ある日突然始まり、ある日突然終わりを告げた。
別れてから、もう四ヶ月。
私と彼が付き合っていた頃は、蝉が鳴いていた。
暑苦しく鳴く蝉が疎ましかったけど、今はあの頃に戻りたいと、ただ思う。
季節は変わっていくのに、私は何も変わっていない。
別れる少し前、どこかで悟っていた。
よく行く洋服屋でワンピースを選んでいる最中、「季節が変わる頃、きっと一緒にいないだろうな」って、ふと思ってしまった。
けど、別れて正解だったって、分かってる。
私が一番大好きで、一番傷つけられた人だったから。
別れてしまえば、もう二度と、付き合う前の2人には戻れなかったんだ。

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