御曹司の溺愛から逃げられません
あれ以来、彼とプライベートを共にすることはない。
仕事以外の関わりは持たないようにしているが、立川さんにこんな話をされドキドキしてしまう。
ううん、彼のそばにいるといつもドキドキしてる自分がいる。声をかけられるたびに動揺している。ドキドキしちゃいけないと自分を抑えていた。
彼と過ごした時間は長くはなかった。
けど家にいると思い出しては涙が出てくる。
家で彼を想い、会社にいるとそばにいるのに手を伸ばせないもどかしさで胸が苦しい。
彼の隣にいられないとわかっているのに、心は言うことを聞いてくれない。
さっきとは違う涙がこぼれ落ちてきた。

「大丈夫? つい言ってしまったけど気に触ってしまったのならごめんなさい」

立川さんはまた泣き始めた私を見ると謝ってきた。

「心配をかけてごめんなさい。最近涙腺が緩いんです。社長を尊敬はしていますが私的な感情はないです」

私は自分に言い聞かせるように立川さんに話すと優しく頷いていた。
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