御曹司の溺愛から逃げられません
有無を言わさずパンプスを履かされ、アクセサリーもつけられた。

「素敵! パーティーでみんなに見初められちゃいそう」

何を勘違いしているのか、そんな声を上げる立川さんに私は動揺してしまう。

「これ頂きます。支払いはこのカードで」

立川さんが財布からブラックカードを取り出したのを見て驚いた。

「はいはい、もう何も言わなくていいから早く脱いできてちょうだいね」

またも有無を言わさず、フィッティングルームに戻され着替えを促された。
私が出てきた時にはすでに2つの紙袋を肩から下げており、お支払いが終わっていることが明らかだった。

出口まで店員にお見送りされ、私たちは店を後にした。

「立川さん、私には分不相応です」

一歩先を歩く立川さんに話しかけると笑いながら

「同伴を頼んできたのは社長なんだから支払いはしてくれるわ。心配しなくていいのよ」

と言い放った。
パーティーに来ていく服を社長に買ってもらうなんて聞いたことがない。
私の頭は混乱してしまう。
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