御曹司の溺愛から逃げられません
そして今度はネイルサロンへ連れてこられてしまった。
普段はセルフネイルで薄いピンクのネイルをしているだけ。そういえば立川さんはいつも目立たないが上品なネイルをしていた。

「ここのネイルは素敵なのよ」

サロンに入るとすぐに席へと案内されたが私にはどうしたらいいのか分からず困ってしまう。するとすかさず立川さんが横からフレンチネイルでストーンを一つ、清楚な雰囲気でお願いね、と注文してくれた。
手のマッサージや爪の手入れをしていつもと同じようなピンクとホワイトで仕上がった。立川さんのオーダー通り、ストーンが一つ付けられとても可愛い。
自分の手なのにいつもと違う雰囲気に私のテンションが上がる。手を見つめていると、

「秘書は目立たなくていいの。けれど社長と一緒で会社の顔なの。だから爪の先まで気を配れたら素敵だなと思っているのよ」

立川さんの秘書としての心構えに心が洗われるようだった。
秘書課に配属になり、スーツを着て仕事をするようになった。それだけで満足していた自分が情けなくなる。立川さんのように、社長の隣にいる限りは会社の顔として爪の先まで気を配るなんて考えたこともなかった。相手に不快感を与えず、なおかつ印象良くなるようにもっと立川さんに付いて勉強したいと心から思った。
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