目の前の幸せから逃げないで
8

ゴールデンウイークも、

私達は 特別な外出を しなかった。

光毅は あまり 外に出たがらない。

私達は 長い休日を ゆっくり過ごした。


いつもより 朝寝坊して。

朝から 愛し合って。


気怠い余韻を 楽しみながら、

二人で ブランチを 用意して。


昼間は 部屋を 整理したり。

少し贅沢な 食材を買って 手の込んだ料理を したり。


夜は 寄り添って 映画を見て。

ベッドの中で 光毅の若さに 翻弄されて。

そんな風に 過ごす時間に 私達は 満たされていた。


私は もともと 外出好きじゃ なかったけど。

清原さんと 付き合って 更に 出不精になっていた。

清原さんとは いつも 私の部屋で 会っていた。

誰かに 見られたら マズいから。


光毅とは 人目を避ける必要は ないけれど。

私と光毅は 決して お似合いのカップルじゃ ないから。


光毅が 好奇の目で 見られるのが 嫌だから。

私は 光毅より ずっと 年上だから。


光毅は 全く 気にしてないけど。

二人で 近所のスーパーに行くと

光毅は 嬉しそうに 手を繋いでくる。


私が 気おくれしてしまうほど。

誰も 他人のことなんて 見てないし。

私の 自意識過剰だって わかっている。

でも いつか 光毅も 意識する日が来る。


きっと…。

年の差は 何年経っても 変わらないから。








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