目の前の幸せから逃げないで

光毅は 熱心に 仕事をしてくれる。

鈴香との リモートでも

聞きたいことを まとめて 効率的に 質問していた。


SNOW BELLは 順調に 売り上げを 伸ばしていて。

私は 鈴香次第で 業務を拡大したいと 考えていた。


7月に入り 夏季休暇の予定を 決めながら

「みつき、夏休み 実家に 帰らなくてもいいの?」

光毅は 年末年始も ゴールデンウイークも 帰省していなかった。

「うん。俺の両親 小さい頃に 離婚しているんだ。俺は 父親と 生活していたんだけど。俺が 中学生の時 親父 再婚したから。帰っても、お互いに 気を使うから。」

初めて聞いた 光毅の 家族のこと。

「そうなの…」

だから光毅は 人見知りなのかもしれない。


「由紀乃さんも 全然 帰ってないでしょう。」

「そうね。私の実家 遠いから。」

「へぇ。どこなの?」

「北陸。富山県よ。知ってる?」

「ううん。全然 知らない。」

そう言って 光毅は笑った。


「フフッ。そうよね。」

「由紀乃さんの家族って どんな感じ?」

「うちは普通よ。両親と2才違いの妹。妹は結婚して 実家の近くに いるから。両親も 寂しくないんじゃないかな。」

「そう。帰って来いって 言われない?」

「私は 忙しいって 思っているから。帰ると 色々うるさくて…」

「結婚は まだか、とか?」

「まぁ、そんな感じかな。でも たまに 電話はしているわ。妹の子供には 洋服 送っているし。」

「それって、宣伝じゃない。」

光毅は クスクスと笑った。








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