目の前の幸せから逃げないで
9

まもなく、光毅と出会って 一年。


私達は 家族以上に 長い時間 一緒に いるけど。

まだ お互いに 知らない事だらけ。


光毅は どんな子供だったのか。

何が好きで 何が嫌いだったのか。

何に笑い 何に泣いたのか。

そして 何故 東京に来たのか。

でも 何も 知らないままでいい。

私達は 期間限定の 恋人だから。

知り過ぎてしまうと もっと 別れが辛くなる。


旧盆に合わせて 5日間の夏休みを決めて。

「みつき、どこか 旅行でもする?」

「えー。暑いし。どこ行っても 混みそうじゃない。」

「ずっと家で、退屈しない?」

「しないよ。由紀乃さんと一緒なら。家にいる方が 気を使わなくて いいよ。」

「そう。じゃ、また 美味しい物作って 食べようね。」

「うん。俺も 一緒に料理したい。」

「そうね。今度は 何を作ろうか?」

私達は 夏季休暇中も 部屋で ゆっくり 過ごすことにしていた。







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