目の前の幸せから逃げないで

「これから システム関係は みつきに任せようと 思っているの。復帰してすぐは、鈴香も 休むことが 多いと思うし。鈴香には 私の仕事を 手伝ってもらうつもりなの。」

私は 光毅に やりがいのある仕事を させてあげたかった。


「えっ。俺に?大丈夫かな…?」

光毅は 少し 不安そうな顔をした。

「大丈夫よ。みつきの仕事、この一年 見て来て 任せられるって 思ったの。みつき 正確で丁寧な仕事を してくれるから。これからは みつきの思ったように 工夫していいからね。」

私が言うと、光毅は 嬉しそうな顔で 頷いた。


「由紀乃さん、ありがとう。俺、由紀乃さんと出会えて 本当に良かった。」

「ちょっと、どうしたのよ。改まって…」

「うん…俺、ずっと 自分に 自信がなかったから。人と話すのも 苦手だし。俺なんかいなくても 誰も困らないって。ずっと思ってきたから。でも 由紀乃さんと一緒にいると 毎日 すごく楽しくて。仕事にも 意欲が湧くし。それに…」

光毅は 続きを 言い淀んだ。


「んっ?なあに?」

「うん…由紀乃さんが 俺に 自信をくれたから…夜も……」

光毅は 顔を真っ赤にして そこまで言った。


「ちょっと。止めて。恥ずかしいじゃない。」

私も 頬が熱くなってしまう。


「だって…由紀乃さんが 言ってって言うから…」

「もう!みつき。」

「でも、本当でしょう?」

光毅は 少し不安そうに 私の顔を見た。


「まあね…それはそうなんだけど…恥ずかしいじゃない…こんな所で 言わないで。」

私は 光毅に 初めて 絶頂感を 与えられたから。

光毅を 縛るつもりだったのに

私が 光毅から 離れられなくなっていた。









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