目の前の幸せから逃げないで

10月から 鈴香が 仕事に戻って。

紗良ちゃんが 保育園に慣れるまでは

在宅や 時短勤務で いいって言っても

「大丈夫よ。ちょっとでも 事務所に 顔出すわ。」

と 毎日 出勤してくれた。


3人態勢が 落ち着いた 11月の初め。

「あのね、商品を 増やそうと思うんだけど。大丈夫?」

私は どうしても 取り引きしたい メーカーがあった。


SNOW BELLを スタートさせる為に

鈴香と フランスへ行った時から 気になっていたけど。

その時は 条件が合わなくて 私達は 諦めた。

でも、今なら メーカーの条件で 取り引きができる。


「何を始めるの?」

鈴香に聞かれて

「” ルシアン ” の商品を 売りたいの。」

「あぁ…由紀乃、気に入っていたものね。」

「うん。絶対、売れると思う。」

「いいんじゃない。やってみようよ。ハタ君、ページ増えるけど 大丈夫?」

鈴香が聞くと 光毅は 得意げな顔で 頷いた。


「大丈夫です。商品 届いたら 写真撮りも 手伝います。」

「頼もしいじゃない、ねえ 由紀乃。」

私に振られても 何て答えていいか わからなくて。

「まあね…」

と間抜けな返事をして 鈴香を 呆れさせた。






< 46 / 51 >

この作品をシェア

pagetop