スパダリの秘密〜私の恋人はどこか抜けている〜
「何よそれ……。慶汰さんには、私がいなきゃダメだって思ってたのに……勘違いだったなんて」

 恥ずかしさと悔しさがない交ぜになって、居たたまれない。有紗のプライドは、ぽっきりと音を立ててへし折られてしまった。

 慶汰の指先が俯いた有紗の輪郭をなぞり、顔を上げさせる。そこにはどこか満足げな慶汰の顔があった。

「そ、俺有紗がいないとダメなの。それをわかってほしくて嘘ついた。ごめんな、面倒くさい男で」
「本当に面倒くさすぎ……。というか、私もっと惨めじゃない。慶汰さんに勝てるところ、最初から何ひとつなかったってことでしょ?」

 ずっと何かひとつでも慶汰に勝るものがほしくて頑張っていた有紗にとっては、衝撃的な事実だった。ますます自分の存在意義がわからなくなるから。

 慶汰は有紗の気持ちを汲み取って、口角をさらに緩めた。

「まあ確かに俺は、大抵のことは何でもこなせるよ」
「また自分で言った……!」
「本当のことだから、わざわざ謙遜する必要はないだろ」

 さらりと言われて、反論できないところがまた悔しい。慶汰は根っからの自信家であり、それが皆の羨望の眼差しを集める鶴生慶汰を形成しているのだ。

「その俺がこんなに面倒くさいことしてるの、全部有紗の為だってわかってる?」
「そ、それは……」
「だから俺は有紗に勝てないよ。俺の弱点はいつだって有紗だけだから」

 有紗の言葉も待たず、ゆっくりと唇が重なる。

 浅いところで何度か唇を合わせると、慶汰の艶めいた瞳が真っ直ぐと有紗を射貫いた。

「……あと、毎晩有紗のこと抱かないと眠れない」
「なっ、変態……!」
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