俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
次の日、朝から快晴で、
着替えてリビングに行くと、スカイタワーが水色の空に良く映えて輝いてみえる。

窓際で立ち止まりしばし見惚れてしまう。

ガチャっと玄関の音がして、リビングがらそっと覗くと買い物袋を下げた翔さんが立っていてびっくりして駆け寄る。

「おはようございます。もう起きてたんですね。全然気が付かなくてすいません。」

「おはよう。気にしなくていい。これ、朝食の材料適当に買って来た。」

「ありがとうございます、朝早くに…。」
袋をキッチンまでわざわざ運んでくれて、シャワーを浴びにお風呂場に行ってしまう。

私は手早く、食品を冷蔵庫に入れながら朝食の準備をする。

今朝はワンプレートにベーコン入りのスクランブルエッグ、美味しそうなバジルのソーセージを焼いて、トマトを切り分けサラダに乗せる。
後はトーストにチーズとハムを挟んでプレスしながらホットサンドを作る。

キッチンに一通りの調味料と器具は揃っていたけど、どれも新品で綺麗だった。

「良い匂い。」
そう言ってシャワーから戻って来た翔さんは、白と水色のストライプのワイシャツで、紺のズボンは皺一つなくピシッとしている。

「ご飯食べられますか?コーヒーでいいですか?」

「ああ、ありがとう。」
そう言って、率先して机を拭いてコーヒーカップを取り出し、コーヒーメーカーのボタンを押してくれる。

「果穂は?カフェラテなら飲める?」

「はい。飲んでみたいです。」
ついでにコーヒーメーカーの使い方を教えてもらおうと近付く。

「朝から果穂が居るのって嬉しいな。」
ニコニコしながら言って来るから、 
こっちも嬉しくなって微笑んでしまう。

「抱きしめでもいいか?」
こくんと頷くと、ぎゅっとされて鼓動が躍る。翔さんから石鹸の香りがしてキュンとする。
「キスしてもいいか?」
何故かいちいち承諾を取るから笑ってしまいながら、こくんと頷く。

軽く唇がふれ合う。
何度も角度を変えて…

「口開けてくれる?」
いつも強引なのに、なぜ今日はいちいち聞いて来るんだろ?
と、頭の片隅で思いながらとまどいながら、軽く口を開けるとすかさず舌が差し込まれ、急速に激しい口付けに変わる。

「……んっ…。」
我慢出来ずに吐息が漏れる。
息が乱れるが止め方も分からずなすがまま。

訳が分からず、何故か抱き上げられてソファに運ばれ倒されてしまう。

下唇を甘噛みされて、舌を絡まれ吸い尽くされる。
息が乱れ溺れそうになりながら、必死で名前を呼ぶ。
「……か、翔さん…。」
やっとキスの嵐が止まって、
はぁはぁと息をしながら翔さんを覗き見る。

「ごめん…朝から…暴走した…。」
そう言って抱き起こされ、抱きしめられて息を整える。

「果穂が拒まないから…
俺が暴走したら引っ叩いてでも止めてくれ。」
真剣な顔でそう言って来るから目を瞬いて答える。

「止める理由が無いので…慣れなきゃですし…。」
そう伝えると、はぁーっと深いため息を吐いて、

「どう言う意味で言ってるか分かってるのか?」
ぎゅっと抱きしめられて身動きが取れない。いつもより早い翔さんの鼓動が聞こえて、
なんだか安心する。

良かった、私と一緒。

「朝から煽らないでくれ。仕事に手がつかなくなる。」
そっと離され、ソファから立ち上がらせてくれて、キッチンのカウンターへと導かれる。
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