俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

「俺にとっては店舗を増やすより、果穂の気持ちを掴む方が難しくて難解だ…。」

エレベーターの階数表示を見つめながら、翔が呟く。

「…翔さん、私こう見えても、翔さんにとても惹かれています。
私とは、全然違う世界に生きている人だと、遠い人だと思っていました。
だけど、電話で話たり昨日一緒にお食事したり、今日こうやって出かけたりすると、もっともっと翔さんの事が知りたいって思ってしまうんです。」

「ちょっと待って、それは今、もしかして告白されてるのか？」
翔さんが、私を見て明らかに驚いた顔をしている。

ピンポン。

だけど不運にもエレベーターは一階に到着して、ロビーに沢山の観光客が待っている。
ここは降りるしかない…。

果穂の手をぎゅっと握り、翔は人混みを無言で抜けて行く。