Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
* * * *
大学を卒業した芹香は父親が経営するIT関連の会社に就職をした。その中でも父や兄が必ず近くにいる秘書課への配属を任命された。五年前のことがあってから、父親は芹香に対して極度の心配性になってしまった。手元に置いておかないと不安になるのだと母親が漏らしていた。
本音を言えば他にやってみたいこともあったが、両親を心配させてまで自分を押し通すこともないと諦めたのだ。
あの事件の前まではもっと伸び伸びしていたはずなのに、今は何かに怯えながら、なるべく静かにひっそりと生きていきたいと思うようになっていた。
そして誠吾を忘れたくて友人の誘う合コンに参加をしてみたが、つい彼と比べてしまい、誰にもときめかずに終わってしまうことばかりだった。
全然前に進めていないことを実感しては、胸が苦しくなる。実らなかった恋だから引きずる。拒絶されたから傷が残った。
「私、いつになったら変われるのかなぁ……」
昼下がりのカフェの店内で、ランチプレートを頬張りながら、芹香はため息をついた。
「なかなか難しいねぇ。普通なら告白しちゃえばいいって背中を押すけど、すでに告白済みだし」
「とっくに玉砕してるよー」
同期の史乃が困ったように放った言葉に、芹香は泣きそうになりながら返事をする。
「新しい恋を探すために合コンに出たらって言っても、何回も参加してるしねぇ」
「明智さんより素敵な男性がいないんだもん……」
「いや、本当はいると思うよ! いるんだけど──」
口ごもった史乃は、残してあったブロッコリーを一口で頬張ると、眉間に皺を寄せた。
「わかってる。私の視界に入らないんでしょ? それっていないのと一緒じゃない」
「うーん、その通りだからなんとも言えないなぁ」
「どうしたら明智さん以外を好きになれるんだろう。彼を頭から追い出す手段があればいいのに」
初恋というわけではない。確かに大人の魅力を感じはするが、惹かれているのはそれだけではなく、彼の優しさや仕事への姿勢など、全てにおいて芹香の心を掴んで離さないのだ。
大学を卒業した芹香は父親が経営するIT関連の会社に就職をした。その中でも父や兄が必ず近くにいる秘書課への配属を任命された。五年前のことがあってから、父親は芹香に対して極度の心配性になってしまった。手元に置いておかないと不安になるのだと母親が漏らしていた。
本音を言えば他にやってみたいこともあったが、両親を心配させてまで自分を押し通すこともないと諦めたのだ。
あの事件の前まではもっと伸び伸びしていたはずなのに、今は何かに怯えながら、なるべく静かにひっそりと生きていきたいと思うようになっていた。
そして誠吾を忘れたくて友人の誘う合コンに参加をしてみたが、つい彼と比べてしまい、誰にもときめかずに終わってしまうことばかりだった。
全然前に進めていないことを実感しては、胸が苦しくなる。実らなかった恋だから引きずる。拒絶されたから傷が残った。
「私、いつになったら変われるのかなぁ……」
昼下がりのカフェの店内で、ランチプレートを頬張りながら、芹香はため息をついた。
「なかなか難しいねぇ。普通なら告白しちゃえばいいって背中を押すけど、すでに告白済みだし」
「とっくに玉砕してるよー」
同期の史乃が困ったように放った言葉に、芹香は泣きそうになりながら返事をする。
「新しい恋を探すために合コンに出たらって言っても、何回も参加してるしねぇ」
「明智さんより素敵な男性がいないんだもん……」
「いや、本当はいると思うよ! いるんだけど──」
口ごもった史乃は、残してあったブロッコリーを一口で頬張ると、眉間に皺を寄せた。
「わかってる。私の視界に入らないんでしょ? それっていないのと一緒じゃない」
「うーん、その通りだからなんとも言えないなぁ」
「どうしたら明智さん以外を好きになれるんだろう。彼を頭から追い出す手段があればいいのに」
初恋というわけではない。確かに大人の魅力を感じはするが、惹かれているのはそれだけではなく、彼の優しさや仕事への姿勢など、全てにおいて芹香の心を掴んで離さないのだ。