Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜

3 すれ違いの理由

 お互いを味わうようなキスを繰り返しながら、誠吾の手は芹香の胸の膨らみを揉みしだいていく。指が胸の頂を捉えると、芹香の口からは甘い吐息が漏れた。その吐息すら溢さぬよう、誠吾はキスは激しさを増していく。

 彼の指が芹香の腹部をなぞるように下りていくと、太腿の付け根から脚の間へと滑り込む。誠吾の指先が芹香の敏感な部分を優しくなぞると、思わず体がのけぞった。

 甘い声と共に、乱れる呼吸。誠吾ははやる気持ちをどうにか抑え込みながら、芹香の胸の頂を口に含むとゆっくりじっくり(ねぶ)っていく。

 どこもかしこも甘すぎるくらいだ……芹香に酔わされていくのを実感する。

 彼女の中へと指を滑り込ませると、改めて自分が初めての男になれることへの喜びが湧き上がってくる。それと同時に、芹香を傷付けないように大切にしたいとも思った。

 まだだめだ……もっとじっくり解さないと……。

 しかしそう思った矢先、思いがけない言葉が誠吾の耳に届いたのだ。

「……明智さん……早く中に来て……これが最後だってわかってるから……だから早く明智さんを……少しでも長く感じさせて欲しいの……」

 これが最後? 一体彼女は何を言っているんだろう。しかし芹香の目からは一筋の涙がこぼれ落ち、それが心からの言葉だとわかる。

 そうか……きっと私自身がそうさせてしまったんだろうな……。誠吾はずっと芹香に告白された時のことを忘れられずにいた。

 あの時は事件が解決していなかったことのもどかしさもあり、子供の頃から知っている芹香からの告白を信じる気にはなれなかった。

 だがあの日を境に芹香の態度が変わった。今まで屈託なく笑いかけてくれた少女が、作り笑いしか見せてくれなくなった。優しく柔らかな話し方は義務的な冷たさを帯び、何より近寄ることを許さなかったのだ。

 私が芹香さんを変えてしまった……そう思うと罪悪感に包まれた。

 それなのに年々綺麗になっていく芹香に、誠吾は惹かれていることに気付いてしまう。年の差を言い訳にして断ったのに、今更認めようとする不甲斐ない自分に腹が立った。

 芹香さんは私が性欲だけで抱こうとしていると思っているんだろう。そう思われても仕方のないのは確かだ。

 だとしても、その想いをそのままにするわけにはいかない。

 誠吾は芹香の唇を塞ぎ、ねっとりと下を絡めていく。その間に彼女の中と敏感な部分を同時に攻めたてたので、快楽の波に溺れた芹香は体を大きく震わせ、胸を激しく上下させながらベッドへと沈み込んだ。
< 29 / 43 >

この作品をシェア

pagetop