Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
 誠吾は悩んだ末、芹香の耳元に唇を近付け囁いた。

「……週末だけじゃなくて、あなたを独り占めしたいので……そろそろ一緒に暮らしませんか?」

 すると芹香は顔を輝かせてから、少し物足りなさそうに首を傾げる。

「……暮らすだけ?」

 な、なんて破壊力だ……! ──これには誠吾の我慢も限界に到達する。誠吾が激しく腰を動かし始めると、芹香の甘い声が途切れ途切れに響く。

 唇を重ねながら、わずかな隙間から誠吾は声を押し出す。

「芹香さんっ……一生私のそばにいてください……あなたを必ず愛し抜くと誓いますから……」

 その時、芹香の瞳から一筋の涙が溢れた。そして二人は果て、ゆっくりとベッドに崩れ落ちていった。

 激しく上下する芹香の胸の上で、誠吾は乱れる呼吸を整えていく。そして今の自分の発言を反省した。

 本当は夜景が綺麗なホテルのレストランで言おうと思っていたのに──情欲に流されこんな形になってしまった。誠吾の中に後悔の念が渦巻いていく。
 
 すると誠吾の気持ちを察したのか否か、芹香が彼の頭をそっと抱きしめたのだ。

「……私も明智さんのそばを一生離れないから……あなたを愛し抜くって誓うわ……」

 それからクスクス笑う。そんな芹香を見ながら、誠吾が珍しくバツが悪そうな顔になる。そして眉間に皺を寄せながらそっぽを向いた。

「うふふ。まさかこんなことをしている時に言われるとは思わなかったけど……」
「……ですよね……」
「でもずっと不安だったから、あなたを私の中に感じながら聞けて幸せだったの……」

 誠吾が顔を上げてみると、芹香が満面の笑みを浮かべていた。

「明智さんのそんな困った顔、近くで見られるのは私だけって思ったらすごく嬉しい……」
「……今も昔も、私の心を乱すのはあなただけだ……」

 二人は微笑み合うと、どちらからともなくキスをする。なんて温かくて穏やかな時間だろう……。

「明智さん、一つだけお願いしてもいい?」
「なんでしょうか?」
「あのね……その……大事な言葉はまだ聞いてないから、また今度聞かせてもらえたら嬉しいかな……なんて」

 誠吾は思わず吹き出してしまう。

「もちろんです。改めてきちんと言わせてください」

 嬉しそうに頷いた芹香の体を抱きしめながら、誠吾の頭の中では新たな計画がスタートする。

 もう二度と彼女を失うことがないよう、芹香への愛を心に誓うのだった。
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