Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
 本当はずっと可愛いと思っていた。ただ彼女が小学生だったから、これは可愛いものを愛でるような気持ちだと決めつけていた。

 どれだけ時間が流れてもその気持ちは変わらないのに、彼女が歳を重ねるたびに、新たな感情が付随するかのように膨らんでいく。

 それが何であるのかを認めてしまうと、いつから彼女を女性として見ていたのかと気味悪がられる気がしたから口には出来なかった。でもきっと自分の中で抱いていた理想の女性像が彼女そのものだったと気付く。

 だから彼女に告白をされた時は胸が熱くなった。だけどこれまでの経験上、若い子は気持ちが変化しやすいという偏見を持っていた。芹香の気持ちだって、いずれ変わるかもしれない。

 そうなったら立ち直れる自信がなかったから拒絶したのに、心は彼女を求め続けた。そして彼女の心が変わらず自分に向いていることを知ると、もう離したくなくなった。

 子供だった彼女を思い出しては、こんなことをしている二人に背徳感を覚える。でも止めることは出来ない。

 その時に芹香が誠吾の顔を両手で挟んで引き寄せたかと思うと、熱い吐息混じりのキスをしてきたのだ。とろんとした瞳で誠吾を見つめながら、
「明智さん……大好きよ……」
と漏らす。

 あぁ、なんて幸せなんだろう──背徳感なんて一瞬で消え去ってしまった。

 キスを繰り返しながら彼女の中で一つになると、二人はその時間を堪能するかのようにそのままの姿勢でほうっと息を吐いた。

 誠吾は芹香の左手を取り、そっと口づける。

「……そろそろあなたを私だけのものにしたいなんて言ったら、独占欲が強すぎでしょうか」

 芹香はキョトンとした顔で誠吾を見つめる。

「今も明智さんだけのものでいるつもりですよ……?」
「あはは! 確かにそうですね」

 芹香の素直な反応に、誠吾の方が困ってしまう。遠回しに言うことではないし、こんな状況で伝える言葉でもない。

「気になさらないでください。ちょっとタイミングを間違えました」

 ただその言葉で芹香は彼の言いたいことを察し、急にあたふたと挙動不審になる。

「ま、待ってください! 今のってまさか……!」

 頬を真っ赤に染めて顔を逸らした誠吾を見て確信した芹香は、彼の体に足を回して離れないようにガッチリと堅める。

「大丈夫です! タイミングは合ってるから……間違えてなんかないから……だからちゃんと言って欲しいです……」

 彼女の懇願するかのような瞳にノックアウト寸前までいくものの、誠吾は頭を振ってその甘い考えを追い出す。とはいえ、このままでは芹香をがっかりさせてしまう。
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