僕の特技は秘密です
刀を鞘から抜くと、刀の力なのか、黒いモヤが刀に吸い寄せられるように集まってきた。
すべての黒いモヤが大吾くんの周りからなくなると、彼は脱力したかのようにその場に倒れた。そして、山切丸に集まってきた黒いモヤをそのまま封印されていた壺に刀ごと入れ、しっかり蓋をした。

「…なんか、悪霊って割にはあっけないな。」

橘は少し物足りなそうに言う。

「いや…。無事に解決して良かったんだよ。そのための刀なんじゃないか?」

つーちゃんのお父さんはすっかり腰を抜かして座り込んでいた。

「お父さん!大ちゃんを念のためお祓いしてよ!!」

「…ぁあ。そうだな。いま、準備をしてくるよ。」

つーちゃんのお父さんはお祓い用の服に着替え、社務所の巫女さんたちに手伝ってもらながら、この部屋へお祓いに必要な道具を一式そろえお祓いの儀式を行った。そのあと、念のためにと封印の護符を作って貼ってくれた。
「あのお父さんのことだから効果は薄いかもしれないけれど、やらないよりはまし!」と、つーちゃんは笑っていた。

お祓いの儀式が終わってから30分ほどすると、大吾くんは目を覚ました。
体調は特におかしなところが無いと言っていたが、地下室に行ってからの記憶がないという。
まぁ、取りつかれた人の良くある話だった。

その後、村長と連絡がとれ、大吾くんを迎えに来てくれたのだが、龍の目から出てきた地図だけでも売ったらどうだ?と、あの参事にも関わらず金儲けの話になったので、皆で呆れてしまった。

…自分の息子が取り憑かれたというのに。
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