僕の特技は秘密です
大ちゃんもあの後は特に何も変わらない様子で、学校も普通に来ていた。

全てが元通りに成りつつあるなか、そわそわと何をしていても落ち着かない。

はぁー…。

学校から帰宅してから自分の部屋で勉強を始めた。お世話になった大好きなお婆ちゃんのお世話をしたくて福祉学への進学を目指している。勉強を始めてからそんなに時間が経っているわけではないのに、開いていた参考書とノートから目を離し、ついついスマホに手が伸びてしまう。

そして、今朝送られてきた旺介くんのメッセージを開き、『おはよう』と書かれたスタンプを眺めてみる。

毎日『おはよう』と『おやすみ』のメッセージをお互いに送り合うようになっているが、もう少し何かやり取りをしたいなぁーと、最近よく思う。

「旺介くんって、小さい時も今も私が困っているといつも現れる…。まるでヒーローみたい…。」

ポロッと言葉が漏れる。

その上、あんなイケメンなんてずるいと思う。

「彼女…いるのかなぁ。」

勉強よりもそっちの方が気になってしまう。

もし、彼女がいるなら、このメッセージのやり取りは実は迷惑だったりするのかなぁ…。

と、考え始めたら止まらなくなるのだ。

「んぁあーっ!ダメダメ!今は勉強!」

自分のほっぺたを軽く叩き気合いを入れた。
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