僕の特技は秘密です
『おはよ!今日は文化祭でやるカフェの買い出しに来てるよ。』と買い出しメンバーとの待ち合わせの間に旺介くんにメッセージを送った。

買い出しのメンバーは運良く同じクラスになった大ちゃんと梨香子。大抵一緒に行動している。はじめは梨香子と二人で行く予定だったが、荷物持ちにと梨香子が無理やり大ちゃんを捕まえた。大ちゃんは4月生まれで、かつ村長の息子ということもあり、村では一番の裕福。そう、高校生では珍しく車の運転免許も自分の車も持っていた。
都会とは異なり、車がないと買い出しは結構辛い。他のクラスは先生を運転手として買い出しをしていたが、うちのクラスは大ちゃんがその役割を担っていた。

「いやー、大吾と幼馴染で良かったって思う日が来るなんて!」

と大ちゃんに大量の荷物をもたせながら梨香子は笑いながら言う。

「大ちゃん、いつもありがとね。」

お礼を言うと少し照れた表情をしていた。
たくさん買い込んだ荷物を車に詰め込んでいるとスマホが震えた。

『文化祭いつ?つーちゃんのウェイトレス姿、見に行きたいな。』

旺介くんからのメッセージだった。

『見に行きたいな。』だって…。来てくれるんだ…。

嬉しさから顔が緩む。

『明後日の土曜日だよ!来てくれるの??』

と返信すると、

『絶対に行くよ!』

と、すぐに返信が来た。旺介くんの家から山切村まで車で2時間半かかると聞いた。なので高校が隣村で若干距離が縮まるとはいえ遠いいことには変わりない。なのに二つ返事で来てくれるなんて…。嬉しさが抑えられない。
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