僕の特技は秘密です
ゆっくりつーちゃんを覗き込むと瞳いっぱいに涙を浮かべていた。

「卒業式では泣かないように頑張ってたのにぃー!旺介くんのばかぁー!」

堪えきれなくなったのか、僕に文句を言うとボロボロ泣き出してしまった。

「あはは、ごめんね。大好きな人の節目に一緒にいたくて迎えにきちゃった。」

そっとつーちゃんの頬に触れ涙を脱ぐう。

こんなに喜んでくれるなんて迎えにきて本当によかった。泣き顔まで愛しい。愛しすぎて思わず周りに人がいるにも関わらず口づけをしてしまった。

周りの女子生徒のきゃーと叫ぶ声がしたが、まぁ、明日からもう学校には来ないのだから騒ぎにはならないだろ。

「…旺介さん、俺の前でそれは止めてくれませんか?」

イラッとした表情で大吾くんが言う。

「ぁあ…。ごめん、つい…。」

堪えきれず、みんなの前でキスをしてしまったから、つーちゃんは真っ赤になって、また、固まってしまった。

それを見てみんなで笑っていると今度は真っ赤な顔のまま怒り出した。
顔が赤いのは恥ずかしさなのか怒りからなのかもうわからない。

僕の大好きな表情豊かなつーちゃんだ。

「そうだ。報告もあるんだけど…。せっかくだから2人も車で送ろうか?父さん、移動しながら打ち合わせする事もあるらしく、意外と広いんだよね。」

と言ってチラッと2人を見ると、

「えっ!いいんですか!?乗りたーい!」

梨香子ちゃんは即答だった。
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