恋の♡魔法のチョコレート
スマホを開いて、リストに入れていたカフェやケーキ屋さんをスクロールして探した。
行きたいなと思いながらまだ行けてないお店をブックマークに入れていたから。

こんな時に役に立つよね!無駄にいっぱい保存してるだけじゃなかった!

どこにしようかな~

小鳩と行くんだからあんま可愛すぎてもよくないし、静かすぎるとこも喋りずらいよね、テイクアウトして公園で…は寒すぎるか。今も口元までマフラー巻いてるんだし。

「柳澤さん」

「んー?あ、どっか行きたいとこあった?私は甘いものなら何でも好きだからどこでもいいよ!」

「告白はどうだったんですか?」

「えっ」

ガシャンッ

持っていたスマホがスルッと指の間を通り抜けて、コンクリートの上に落ちた。

やばっ、カバーしててよかった!

「な、なんで…?気になった…?」

本当はめっちゃくちゃ動揺してたけど、悟られないようにスマホを拾いながら恐る恐る小鳩の方を見た。

「そうですね、一応。チョコレートの行方は気になりますね」

あ、なんだそっち?
私の告白の行方じゃなくてチョコレートの行方ね!

だとしたらもっと申し訳ないけど、その行方は…

「あの…ね、まだしてないの!それでチョコレート…」

「え、賞味期限切れてますよ。品質保証できませんけど」

「あ、うん、だから…っ!ごめん、自分で食べちゃった!」

告白なんかできるわけなくて、それでもチョコレートは小鳩が作ってくれたんだし、その思いだけでも受け止めたくて…

自分で食べちゃった実は。

それはそれはおいしくて、あげなくてよかったかもってちょっと思っちゃったりして。

「何してるんですか」

「ごめんっ、ちょっと諸事情がありまして!告白できなくて…!」

「ふーん、まぁ何でもいいですけど」

「ごめんね、忙しい中作ってくれたやつだったのにっ」

「柳澤さんに差し上げたものなんで好きにしてくれていいですけど」

「………。」

小鳩は歩くのが早くて、必死に歩かないと追いつけない。少しでも気を抜いたら置いてかれそうになっちゃうから。

ピタッと小鳩の足が止まった。

「何してるんですか?早く行きますよ」

でも気付いたら振り返ってくれる。

「うん、待って!」

告白なんかできるわけないんだよ、チョコレート渡すなんてできないよ、だって今私が好きなのは…
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