恋の♡魔法のチョコレート
「あ、メリー!そーいえば咲希ぽは昨日何だったの?」

「え?」

「咲希ぽ、彼氏と何かあったんじゃないの?」

「あぁー、あれは…」

咲希ぽなんていつから呼び出したんだろう?

いや、そんなの何でもいいんだけど。

昨日咲希との用を優先させて、チョコレートフォンデュを延期してもらったから…ざっくりだけどそらぴょんにも咲希のことを話した。
ちょっと彼氏と何かあったみたいで話聞くことになったから程度に。

「あれね!咲希の彼氏、サッカー部なんだけど、今度の試合に出られることになったんだって!その報告がしたかったみたい!」

って、咲希は言ってた。

今日の朝、そう教えてくれた。

「なんだよ、のろけじゃん!うらやま!」

あんなに不安そうな顔してたのに、考えてたことより全然違ってよかったじゃんって…その時は思ったんだけど。

あれ、でも…
部活前に話があるって言われたんだよね?

それなのに部活の報告って…、おかしくない?

今度はりんごを食べようと思ってフォークに刺した。

だけどそのままチョコレートにフォンデュしようと思った手が止まってしまって、私より先にそらぴょんがフォークに刺したりんごをフォンデュした。

「咲希ぽいいね、しあわせじゃん」

「うん…、だよね」

「いいなー」

本当にその話だったのかな?
でも咲希が言うならそうなんだと思うし、これ以上聞くのも違うと思うし…

「メリー?どったの?」

「ううん、なんでもない!」

不自然に止まったままだったフォークに刺さったりんごを勢いよくチョコレートの中に入れた。

静かにふつふつと熱を帯びるチョコレートを見つめ、りんごを泳がせる。

私が話を聞くだけで、咲希は何か満たされたかな。

「…恋って難しいよね」

「え?急に何?」

「いやっ、…なんとなく。片想いでも、両想いでも、悩みは尽きないのかなぁって」

「…まぁ、好きになったらそうかもね」

そらぴょんには好きな人がいる。

それは誰かわからないけど。

たぶん、同じように悩んでると思う。

難しいよ、ほんと。

「もう片付けますよ、部活始めたいんで」

「あっ、ごめん」

パクパクと進んだチョコレートフォンデュはすぐになくなって、私のりんごが最後だった。

私が食べ終わる前から小鳩は片付けを始めてる。

きっと想像通りの答えが返って来るだろうと思いながら、一応聞いてみた。

「小鳩は好きな人いないの?」

「そんなめんどくさい人いません」

「そうだよね」

安心するというか、何というか、さすがチョコレートにしか興味ない男だよね小鳩結都って。
< 43 / 159 >

この作品をシェア

pagetop