恋の♡魔法のチョコレート
チョコレートの件は…また1から始めてみればいいか!

そしたらもっと小鳩のこと詳しくなれるかもしれないしね。

それも悪くないよ。

「じゃあ小鳩ばいばい!部活がんばってね!」

下駄箱に着いた、小鳩と別れて帰ろうと思った。

「…今日は来ないんですか?」

「うん、いっぱい邪魔しちゃたし、私部外者だし」

あんまりつきまとってまたしつこいって思われるのもあれだし、しばらくは大人しくしてようかなって。

咲希の恋バナでも聞いてモチベ上げよ。

「チョコ研…入ればいいじゃないですか」

「え…」

スニーカーを下駄箱から出そうとした手が止まる。

「いいの…?」

「入りたいなら、どうぞ。というか僕にそんな権限最初からないんで」

「……。」

「柳澤さんが本当に入りたければ、ですけど」

「入る!入りたい!入ります!!」

はいっ!と右手を上げて返事をしたら、ついつい声まで大きくなっちゃった。

「何度も言わなくても聞こえてますよ」

その声が今までよりも優しく感じて、心の奥で何かが鳴った音がした。

その正体が何かはわからなかったんだけど。

「今日の活動はチョコレートマドレーヌです」

「マドレーヌ!?え、じゃあその荷物って…」

「薄力粉です」

「ずっと薄力粉持ってたの!?教室に薄力粉置いてたの!?」

まだまだ小鳩のことを知ることは多そうで、ちょっとだけワクワクしてた。

それはなんだか不思議な気持ちで、心地よかったんだ。

歩き出した小鳩を追いかけて隣に並んだ。

少しだけ慣れたこの小鳩の隣も、悪くないから。
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