結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
いずれにせよ、私は彼に助けられた。彼が私を冷静にしてくれなければ、本当にカモにされていただろう。

「お礼を言わせてください。本当にありがとうございました。あの、お金は私が――」

「いらないよ。万一、あのとき勝てていたなら、自分の懐に入れるつもりだった」

おどけるようにひょいっと肩をすくめる。

とはいえ、このままなんのお礼もしないわけにはいかない。自分にできることはなにか、咄嗟に考えを巡らせる。

こういうときはどうしたらいいの? 親切をしてくれた人にお礼をしたいとき、お父様ならどうするかしら……。

「あの、もしよかったら、お食事をご馳走させてもらえませんか?」

ふと父が恩人たちに食事を振る舞っていたことを思い出し、私は提案する。

男性は驚いたように、わずかに目を見開いた。

「……かまわないけれど。君は俺といて大丈夫? ご家族やパートナーは?」

「私はひとりなので、大丈夫です」

すると彼は困ったように眉を下げ「それはまた物騒だな」と苦笑した。

「わかった。いいよ。ご厚意に甘えるとする」

「……あなたは、私といても大丈夫ですか?」

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