結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
第三章 心からの笑顔を


翌週の日曜日。ベビーカーに荷物を載せて玄関のドアを開けると、一足先に杏花が外へ飛び出した。

「まだ階段は下りちゃダメよ」

共用廊下の端に階段がある。しかし、杏花一人で降りるのは危なっかしい。

私が玄関に鍵をかけていると、杏花は手すりの間から階下を見下ろし「ママー! みてー!」と叫んだ。

アパートの前に車を停めて待っていた理仁さんが、こちらに気づき手を振ってくれる。私がベビーカーを押しているのを見て階段を上がってきてくれた。

「俺がベビーカーとバッグを持つから、菫花は杏花を」

「ありがとうございます。小さいほうのバッグは私が持ちますから大丈夫ですよ」

ベビーカーで階段を上り下りするのは大変だ。保育園の往復でも苦労している。

「すごい荷物だ」

「遠出するときはどうしてもこうなってしまうんです。おむつやおしりふき、着替えにタオルに麦茶、ぐずったときのおもちゃとか、おやつとか――」

「大変だな。俺が一緒にいてよかった」

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