愛されることに 慣れていなくて
マンションに帰り着き、リビングのソファーに腰をおろす。

素直な真太郎を目にし、安堵した。
同時に、久我山隼人という存在が、自分の中で段々大きくなっていることに気がついた。

今まで生きてきてピンチに陥った時、誰かに助けを求めたり、すがったりしたことはない。なのに、彼に助けを求めていた。

胸がギュッとなる。

こんな気持ちは初めてだ。

これは恋なの?

ふと、私を呼ぶ彼の声が聞こえた。

「菜々子」

振り返るも彼の姿はない。

空耳か…

なんだか胸が苦しくて、食べ物が喉を通りそうになかったので、お風呂に入ることにした。

湯船に浸かりながら、出会った時からの彼の言動を思い出す。
ぶっきらぼうな口調だけれど、一つ一つの行動には、私への気遣いが溢れていた。

これまでの彼の優しさが私を包む。

私は勢いよく立ち上がった。穏やかだった湯船が激しく波打つ。私の今の気持ちのようだ。

浴室の大きな鏡が、何も纏っていない私の全身を映し出す。

彼のことが好きだ。大好きだ。

日向菜々子、37才。久我山隼人さん、あなたのことを好きになりました。

鏡に映る素っ裸の自分に告白した。

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