愛されることに 慣れていなくて
ソファーの上で彼の腕に抱かれ、彼の手は優しく私の髪をなでている。

時計に視線をやると午前1時を回っていた。

「ごめんなさい」

「何故謝る」

「こんな時間になってしまって、貴重な睡眠時間を奪ってしまいました」

「貴重な時間か……俺の人生の中でとても貴重な時間だった。菜々子、振り向いてくれてありがとう。俺のことを好きになってくれてありがとう」

「私の方こそ、好きになってくれてありがとうございます。大切にしてくれてありがとうございます」

「俺の傍から離れるな。絶対離れるなよ」

「私、隣にいてもいいんですか?」

「当たり前だ」

「でも…」

「でも?」

「私、隼人さんよりもかなり年上ですよね」

「たったの9才じゃないか。花さん夫婦なんか一回りも違うんだぞ」

「え!そうなんですか?」

「ああ」

「そうなんですね、そうだったんだ…」

大将のあの包容力が滲み出るようなさまは、その年齢差からきているのかもしれないな。

「隼人さん、隼人さんは28才なんですか?」

「ああ、今日28になった」

「え⁉︎」

「28才になったばかりだ」

「今日はお誕生日なんですか?」

「ああ、最高の誕生日だ。なにせ、菜々子の中で誕生日を迎えたんだからな」

思い出して顔が赤くなる。
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