愛されることに 慣れていなくて

♡ 御曹司の出現

「いってーな!離せよ!お前には関係ねーだろっ!てか、お前誰だよ」

「お前にお前呼ばわりされる筋合いはない」

掴んだ手に力が入ったのだろう。

「イテテテテテッ」
 
「このまま警察を呼ぶか?」

彼は掴んだ手とは逆の手で胸ポケットからスマホを取り出した。

「わかった、わかったよ。わかったから離せって」

何がわかったなのだろうか…

「この男は知り合いか?」

彼が私に訊いた。

「知りません」

咄嗟に出た嘘だった。

「だったら警察に突き出すか」

「おい、菜々子、お前ふざけんなよ!」

再度私に向かってこようとする。

「イテテテテテテテテテテ」

「おい、彼女はお前のことなんか知らないと言っているが、どうする?このまま警察に突き出されるか、彼女の前から消え去るか」

「わ、わかったから警察には電話すんな」

男性が力を緩めたのだろう。
真太郎は勢いよく腕を振り払うと「チッ」と舌打ちし、私と彼を交互に睨みながら立ち去った。
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