愛されることに 慣れていなくて
「息子と結婚する相手は久我山家に相応しい女性でなければならない。おわかりいただけましたでしょうか」

相応しいって…

「今、息子と暮らしていらっしゃいますよね。早々に解消していただきたい」

見失いそうになったけれど、私は何故か冷静だった。

「申し上げておきますが、私があのマンションに住んでいるのは、息子さんとの契約です。なので、息子さんから契約解除の旨を言い渡されれば、すぐにでも出て行きます。ご安心ください。私はただの住人です。私自身、一方的に仕事を辞めろと言われるような結婚は望んでいませんから。それに、この事は息子さんはご存知なのですか?息子さんと直接話さなければならない事案だと思うのですが、お話はされたのですか?久我山家のお話は久我山家でされてください」


「そうですか、それを聞いて安心しました。こういうことは恋愛が絡むと厄介ですからね」

「息子さんは恋愛をしてはいけないんですか?」

「そういうことではありません。恋愛と結婚は別だということです」

今のこの時代、まだこんな考えが根深く残っているのだということを身をもって実感した。ただ、大企業の御曹司ともなれば当たり前なのかもしれない。

「貴女のお気持ちを直接聞くことができて安心しました。なにせ、息子には許嫁がおりますので」

「お話はそれだけでしょうか?他になければ私は失礼いたします」

私は足早にラウンジを後にした。
エレベーターの下ボタンを何度も押す。
ようやく昇ってきたエレベーターに急いで乗り込んだ。
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