愛されることに 慣れていなくて
扉が閉まった瞬間、足に力が入らなくなりそうになったけれど必死に耐えた。
一刻も早くこの場から離れたい。

ホテルを出て、そのまま駅へ向かった。電車に乗り、空いた席に座った瞬間、とめどなく涙が溢れた。周囲に悟られないように俯き、ハンカチで目頭を押さえた。

このまま、どこか遠くへ行ってしまいたい。
そんな私の気持ちとは裏腹に、足はマンションへと向かっていた。

リビングのソファーにドスっと身体を預け、
窓から見える景色を眺めた。


バッグにしまった名刺を取り出し

「久我山ホールディングス、か……」

ふぅ〜っと深く大きなため息をつく。

< 115 / 185 >

この作品をシェア

pagetop