愛されることに 慣れていなくて
女性のすぐ横のベッドで菜々子は眠っている。

「私は副園長の神谷です。久我山さんとおっしゃいましたね」

「はい」

「久我山さんはもしかして」

「久我山ホールディングスの久我山です。以前、会長とご挨拶に伺いました」

「もしかして、会長さんと一緒にいらしてたお孫さん?」

「そうです」

「なんとまぁ、立派になられて」

「ありがとうございます」

「久我山さんが何故ここへ?」

「私は日向菜々子さんとお付き合いをしています」

「まぁ!そうでしたの?」

「はい。倒れたと連絡を受けたものですから急いで駆けつけた次第です。菜々子の具合は?」

「貧血だそうです。今朝からあまり顔色がよくなかったから心配してたんです。今日の菜々子先生は、菜々子先生じゃないみたいでしたし」

「すみません、私のせいです。近くにいたのに何もできなかった」

「そんなことはありませんよ。自分を責めないでください。菜々子先生は頑張り屋さんだから、ちょっと無理をしてしまったんでしょう」

「さぁ、こちらにお掛けになって。私は園に戻ります。あとはお願いしますね」

「はい、どうもありがとうございました」

副園長は「菜々子先生」と呟くように優しく彼女の髪を撫でてから病室を後にした。
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